調査報道で知られるロシア人記者、自宅アパートから転落死
(CNN) ロシアで汚職や犯罪などの調査報道を続けていた記者、マクシム・ボロディンさんが、自宅アパートから転落死した。勤務先のニュースサイト「ノービ・デン(新しい日)」によると、ボロディンさんはロシア中部エカテリンブルクにあるアパートの5階から落下し、15日に死亡した。
内務省報道官によれば、部屋には中から鍵がかかっていた。捜査当局は事件性なしとの見方を示したが、ボロディンさんの家族や友人は不審な点を指摘している。
友人の一人は11日早朝、ボロディンさんから「武装した治安要員がアパートを包囲している」「自宅が捜索されそうだ」と連絡を受け、弁護士の紹介を頼まれたが、約1時間後に本人から「間違いだった」との電話があったという。
別の知り合いはボロディンさんが追いつめられて自殺したのではないかと話し、「ジャーナリストがまた一人、政権に殺された例」だと主張した。
ボロディンさんは今年2月、シリア東部デリゾールの戦闘でロシア人の傭兵(ようへい)が死亡したと報じて注目を集めた。シリアで活動するロシアの傭兵組織には、プーチン大統領と親しい政商がかかわっている。この人物は自身の活動に関する報道を組織的に抑えようとする動きで知られている。
ボロディンさんは昨年、テレビ局とのインタビューでロシア最後の皇帝ニコライ2世のロマンスを描いた映画をめぐる論争について話した後、何者かに襲われ、金属の棒で頭を殴られていた。
欧州安全保障協力機構(OSCE)で報道の自由を呼び掛けている担当者は、ボロディンさんの死に「深刻な懸念」を表明し、「ただちに徹底調査を」と呼び掛けた。