350人救助の難民・移民船、また身動き取れず 各国が非難応酬
(CNN) 難民や移民の受け入れをめぐって欧州各国が対立を深める中、新たに約350人を乗せた2隻の船が、地中海で身動きできなくなっている。
ドイツの救助船「ライフライン」はアフリカ北部のリビア沖で21日に難民・移民234人と乗員17人を救助。一方、デンマークの海運大手マースクが運航する貨物船は、22日にリビア沖で113人を救助した。
近隣国のイタリアとマルタは両船の入港を拒み、他国に対して難民・移民を受け入れるよう求めている。
イタリアとマルタはこれ以前にも、600人あまりの難民・移民を乗せた救助船の寄港を拒んでおり、同船は2日間にわたって地中海を漂流した後、受け入れを表明したスペインに到着。難民・移民に対するイタリア新政権の強硬姿勢を浮き彫りにした。
マースクの広報によると、難民・移民を救助したのはイタリア海難当局の要請を受けた措置だったにもかかわらず、イタリアへの入港を拒まれて、現在はイタリアのシチリア島南部沖の海上で当局の指示を待っているところだという。
イタリア沿岸警備隊は、同船が救助した113人のうち、医療措置が必要な少女や妊婦とその家族など5人は上陸させたとしている。
救助船ライフラインの広報担当は23日、CNNの取材に、同船はマルタ沖に位置していると明かした。
しかしマルタ政府は、救助作業が行われたのはリビアの救助海域であり、救助にかかわったのはイタリアとリビアの当局だったと主張。たとえ同船が現在はマルタの救助圏内にいるとしても、受け入れの義務はないとして同船の入港を拒んだ。同船には食料や飲料を供給したと説明している。