地中海で立ち往生の移民600人超、スペインが受け入れ表明 伊は拒否

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移民らに救命胴衣を配る「国境なき医師団」のメンバー

移民らに救命胴衣を配る「国境なき医師団」のメンバー

ローマ(CNN) 600人以上の移民を乗せた船が地中海で立ち往生している問題で、スペイン政府は11日、東部バレンシアへの入港を認める方針を発表した。これに先駆けイタリアでは、ポピュリズムを掲げる新政権が船の受け入れを拒否していた。

行き場をなくしているのは国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」とドイツの慈善団体「SOSメディテラネ」が運営する船舶「アクアリウス号」。9日夜から10日朝にかけ、リビア沿岸でゴムボートに乗った移民の救出作業を行った。MSFによると、伊沿岸警備隊から現在位置にとどまるよう指示を受け、10日以降はマルタ島とシチリア島の間の海域に足止めされているという。

救助された移民のうち120人以上は身寄りのない未成年で、妊婦も7人いる。MSFは15人が薬品による重いやけどを負っており、低体温症にかかっている人も複数いるとしている。過去に前例がないとも指摘される今回の救出作業を統括した人物は11日、スペインの国営ラジオの取材に答え、船内の食料が残り1日分しかないと明かした。

スペインのサンチェス首相は同日、人道上の災厄を回避するため、アクアリウス号と乗船者をバレンシアに寄港させることを発表した。同船の現在位置はバレンシアからおよそ1280キロの距離にあり、到着まで3日かかるとみられている。

これに対し、10日の時点でアクアリウス号の寄港拒否を表明していたイタリアのサルビーニ内相は、スペイン政府の受け入れ発表後即座にソーシャルメディアへコメントを投稿。「勝利だ!629人の移民が乗ったアクアリウス号はスペインへ向かう。最初の目的を果たした!」と述べた。同氏は反移民をうたう政党「同盟」の党首も務める。

イタリアのコンテ首相もフェイスブックへの書き込みでスペイン政府の意向を歓迎。「重要な転機だ」「イタリアの要請が聞き入れられるようになってきた」との見解を示した。

一方、イタリア同様アクアリウス号の寄港を認めない方針を示したマルタの政府は、同船に食料やビスケット、飲料水を届けた。

スペインに上陸する移民の数は増加傾向が続いており、国際移住機関(IOM)によると、2018年はここまで前年比で50%増えている。これに対してイタリアでは、75%前後の減少が見られるという。

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