福島第一原発の放射性物質の痕跡、カリフォルニアワインから検出
(CNN) 東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質の痕跡が、米カリフォルニア産の赤ワインから見つかったという調査結果を、フランスの原子物理学研究チームがこのほど発表した。
研究チームはカリフォルニア産のロゼワインとカベルネソービニヨン種のブドウを使ったワインについて、放射性物質セシウム137の濃度を2009年産のワインと2012年産のワインで比較した。
その結果、セシウム137の濃度は2011年以降に生産されたワインの方が高いことが判明。特にカベルネソービニヨンのワインは、事故前に比べて濃度が2倍に増えていることが分かった。
ただし、それでもまだ懸念される値には到底届かない。世界保健機関(WHO)によれば、福島第一原発の事故後に各国に拡散した放射性物質の量は、人が普段から浴びている量をはるかに下回るという。
放射性物質は2011年に起きた福島第一原発の事故後、太平洋を横断してカリフォルニア州に到達したと思われる。
しかし福島第一原発の事故後に生産されたカリフォルニアワインのセシウム137の濃度は、かつて米国が実施した核実験後とは比べ物にならないほど低い。
米国が1952年に実施した熱核兵器の実験と、2年後の核実験「ブラボー実験」を受け、ワインに含まれるセシウム137の濃度は激増した。キューバミサイル危機のあった1960年代にも再び上昇したが、その後は世界中で大幅に低くなっているという。