トランプ政権、アフリカ軍の大幅削減を検討 反発も
(CNN) 米国防総省当局者は4日までに、特殊部隊によるテロ対策などが主要任務の米軍アフリカ軍の規模を大幅に縮小させる案を検討していることを明らかにした。
CNNの取材に応じた国防総省当局者3人によると、テロ掃討戦よりロシアや中国など主要な敵性国家に対する軍事的な対処を優先するトランプ政権の新たな国防戦略を受けた措置。ただ、米軍高官はアフリカでのテロの脅威は逆に高まっているとして反発しているという。
ロシアや中国がアフリカ大陸で勢力浸透を進めていることへの懸念も出ている。ロシアはリビアや中央アフリカ共和国に軍事顧問を送り込み、中国は多数のアフリカ諸国に経済進出し、ジブチでは米軍施設の近くに大規模な軍事基地を構築している現状にも注意を向けた。
アフリカ軍は既に米統合参謀本部議長に対し大幅な派兵削減計画を提出。ただ、マティス国防長官がこの案を承認するのかは不明となっている。国防総省のキンケル報道官はCNNに規模変更などに関する決定はまだなされていないと指摘した。
仮にアフリカ軍の縮小に踏み切った場合、その影響を受ける対象国も明らかになっていない。アフリカ軍の特殊部隊は現在、アフリカ大陸の約12カ国で活動中とされる。ソマリア、ニジェールやカメルーンなどでは地元の軍に助言などしている。
アフリカ軍の特殊作戦司令官のマーカス・ヒックス司令官(少将)は今年4月にCNNの取材に応じ、チャドなどアフリカ西部を中心にアルカイダやイラク・シリア・イスラム国(ISIS)系の脅威は高まり続けていると強調。アフリカ諸国での米軍兵士の役目は基本的には側面援助だが、戦闘に巻き込まれる局面も多数回起きている。
昨年10月にはニジェールで待ち伏せ攻撃に遭遇し米軍兵士4人が死亡、今年6月にはソマリアで米軍顧問が殺害されていた。
アフリカ軍の動向に詳しい米軍高官はCNNの取材に、同軍は任務遂行上で必要な要員や装備品確保でイラク、シリアやアフガニスタンでの軍事作戦以上の制約を既に突き付けられているとも指摘した。