アルゼンチン上院、中絶法案否決 ローマ法王も反対
(CNN) アルゼンチン国会の上院は8日夜、人工妊娠中絶を合法化する法案を審議し、9日早朝の採決で反対38票、賛成31票、棄権2票で否決した。
同国下院は今年6月、法案を可決していた。より保守的とされる上院での否決は、野党議員1人が最近、法案支持を撤回したことが響いたとみられる。
アルゼンチン出身のローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は合法化法案については直接的な言及は避けてきたが、下院での可決の数日後、ナチス・ドイツの優生学思想も引き合いに出し強く反対する考えを前面に出していた。
今年3月には国内議論が高まる中で書簡を公表し、国民に生命と正義の防衛への寄与を促していた。
合法化法案は妊娠の最初の14週間での中絶の権利拡大などを女性に認めていた。現行の法律ではレイプによる妊娠や母体が危険な場合などに限って許可していた。
同法案をめぐってはアルゼンチン国内で反対派による広範な街頭活動が発生。ローマ・カトリック教会も「生命のためのミサ」を催すなどした。半面、支持派の活動も活発で、国際人権組織「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の南米担当幹部は同国で過去になかった機運の高まりがあったと指摘した。