米外交官狙った「マイクロ波兵器」説、キューバは否定
ハバナ(CNN) キューバに駐在する米国やカナダの外交官が正体不明の「音響攻撃」を受けて脳に損傷を負ったとされる事件をめぐり、キューバ政府の捜査にかかわっている学者が3日、米政府内で浮上した「マイクロ波兵器」説を否定した。
この事件について米国では、集中ビームを放出するマイクロ波兵器が使われた可能性があるとの説が浮上。これに対し、キューバ政府の捜査にかかわっている著名神経学者のミッチェル・バルデスソーサ氏は、「厚い壁と厚い窓のある部屋に複数の人がいて、その中の1人だけが狙われたという報告がある。そんな兵器は存在しない」と述べ、「これはSFだ。科学ではない」と一蹴した。
バルデスソーサ氏はキューバの首都ハバナにある研究所でCNNの取材に応じた。当初浮上した高出力の超音波を放出する音響兵器が使われたという説にも言及し、「最初は音響兵器で、今度はマイクロ波だという。その次はクリプトナイトか?」と揶揄(やゆ)している。キューバの捜査当局は、マイクロ波兵器説に反論する論文をまとめているという。
キューバ政府は攻撃への関与を否定し、実際にそうした攻撃があったかどうかについても懐疑的だった。
バルデスソーサ氏は、マイクロ波兵器を使うためには至近距離に接近しなければならないとした上で、外交官らは誰も実行犯と思われる人物を目撃していないと指摘。被害者の1人とされる外交官が現場から逃走するのを見たというワゴン車を捜査当局が調べた結果、教会の車だったことが分かったと話している。
同氏はさらに、米国とカナダおよびキューバが1年以上も捜査を続けているにもかかわらず、実際に攻撃が起きたことを裏付ける確固たる証拠はいまだに存在しないと強調した。