「夫は妻の主人ではない」、婚外関係禁じた法律に違憲判決 インド
ニューデリー(CNN) インド最高裁は27日、男性が既婚女性と性的関係を持つことを刑法で禁じた158年前の法律について、違憲とする判決を言い渡した。女性の権利を訴える側からは、画期的な勝訴と受け止められている。
「セクション497」と呼ばれるこの法律では、相手の女性の夫の許可なく既婚女性と性的関係を持った男性に対し、5年以下の禁錮を定めていた。
最高裁の判決ではこの法律について、時代に逆行し女性差別に当たると判断。裁判長は判決文の中で、「夫は妻の主人ではない」「一方の性がもう一方の性に対して法的支配権を持つことは間違っている」と認定した。
判決は裁判官5人の全員一致で言い渡され、同法は憲法で規定された基本的人権の侵害に当たると指摘している。
同法では、自分の妻と性的関係を持った相手の男性を夫が告訴することが可能だった。一方で、自分の夫と関係を持った女性を妻が告訴することはできなかった。
原告側の弁護士はこの判決を、「結婚と家庭における女性の地位にとって大きな勝利」と位置付ける。問題の法律は主に、既に関係が破綻(はたん)している夫婦の間で、夫が妻を脅す目的で利用されていたという。
同法については社会の安定を保つために必要だとする意見もあり、インド政府は廃止ではなく改正して、両性にとって平等な刑罰を定める方針を打ち出していた。
しかし最高裁判決では、同法がなくなれば不倫が増えるという主張を退け、「夫婦のいずれにも平等に、結婚の尊厳を守る責任がある」と指摘した。