不明サウジ記者、Apple Watchで殺害時録音? 専門家は否定
つまり、たとえデータ通信が利用できなかったとしても、カショギ氏がApple Watchをはめていれば、Bluetooth経由で自分のiPhoneに音声を転送することは、理論的には可能だった(カショギ氏のようにサウジアラビアから亡命した人物が、サウジ領事館のWi-Fiに接続することはあり得ない)。
だが、セキュリティーやITに詳しい専門家は、Bluetoothでは短距離の通信しかできないことを理由に、領事館内のApple Watchから領事館の外にいた婚約者が持つiPhoneにデータを転送することはまず不可能だったと解説する。
セキュリティー専門家のロバート・ベーア氏はCNNの番組の中で、サウジ領事館内の音声が記録されていたとすれば、トルコ政府が領事館の建物内に装置を仕掛けていたとしか思えないと指摘。「トルコがサウジ領事館に盗聴器や転送装置を仕掛けていたのだと思う」と推測した。
「トルコは外交官を一切信用せず、トルコ国内の大使館や領事館のほとんどで盗聴している。もしカショギ氏の殺害を裏付けるテープが本当に存在しているとすれば、恐らくその方法で知ったのだろう。だがトルコはなかなかそれを認めようとはしない」
同国の治安事情に詳しいトルコの元外交官もベーア氏と同じ意見で、「Apple Watchは注意をそらすための馬鹿げた説」と一蹴した。