「我々はニラのように摘み取られる」 中国の中流層の嘆き
「ニラ」という言葉には、自分たちは大企業や中国政府に摘み取られる無名の野菜にすぎず、特に米中貿易戦争が激化し、中国経済が減速する中でいいカモにされている、という自虐的な意味が込められている。
忘れ去られた人々
中国の中流層は、国民に空前の豊かさをもたらした非常な好景気が続いたここ数十年間に急拡大した。
習近平(シーチンピン)国家主席は、国民の生活水準が急上昇する中、「チャイニーズドリーム」を実現するためのビジョンを明らかにした。「チャイニーズドリーム」は、繁栄し、気楽で豊かな生活を約束するプロパガンダ的な言葉だ。
しかし、米国の圧力という脅威にさらされ、経済は減速し、格差が拡大する中、中国全土で不安が広がっている。
北京の一部の地域では、家賃がここ1年間に少なくとも40%上昇した。国営メディアは、住民へのインタビューで給料の半分以上が家賃で消えるという言葉を伝えた。
中国の生活水準を示す最も優れた指標のひとつである消費者物価指数(CPI)は5月以来、毎月上昇している。
昨今の米中貿易戦争によって、中国の脆弱(ぜいじゃく)な中間層の将来への不安はさらに高まっている。金融大手JPモルガンのエコノミストらは、米中貿易戦争により中国では少なくとも70万人の職が失われると試算した。