子どもはごみあさり、兵士の不満増大 政治の影に隠れたベネズエラ国民の窮状
ベネズエラ・カラカス(CNN) 大統領に退陣を迫る声が強まり、政情不安に陥っている南米ベネズエラ。首都カラカス周辺を車で走ると、焼け落ちた警察署や横転した車、パンを求める人たちの行列、煙を上げるゴミ箱が目に入る。
この地域に住む貧困層の住民は、マドゥロ大統領の支持基盤だった。しかし今では毎晩のように住民が警察と衝突し、CNN取材班は武装した部隊が民家を急襲して住民を連行する現場も目撃した。
マドゥロ政権に対する抗議デモにはこの1週間で数十万人が参加した。野党指導者のフアン・グアイド氏は、自身が大統領だと宣言。米英や中南米諸国の支持を取り付け、選挙のやり直しを求めている。
地元住民の1人は、「もうこれ以上持ちこたえられない。私たちは押しつぶされている。私たちは物乞いになった。これは政治ではなく、生存問題だ。みんなが1キロのコメや小麦粉や水を求めて互いに殺し合っている」とつぶやいた。
ベネズエラを巡っては米国、ロシア、中国などの駆け引きが続く。しかし国民が危機感を抱くのは、南米の社会主義の行方でも、冷戦時代の地政学でもなく、差し迫った飢えの問題だ。
長年のインフレや経済破綻(はたん)の影響で、国民は2017年の平均で11キロ体重が減った。かつては南米で有数の産油国として潤ったベネズエラだが、今はスーパーマーケットに行っても卵やパンは見当たらず、水とナッツ、チーズ、ハム、果物だけで200米ドル(約2万2000円)の値段がつく。
食料不足が原因で、1カ月足らずの間に食品はさらに値上がりする見通しだ。通貨ボリバルの価値が下がり続ける中で、値段が2倍になる可能性もある。国際通貨基金(IMF)の予測によると、2019年のハイパーインフレは1000万パーセントに達する見通しで、ほとんどの日用品は手が届かなくなる。