座礁船から重油流出、世界遺産脅かす ソロモン諸島
(CNN) 南太平洋のソロモン諸島で貨物船が座礁して重油が流出し、世界遺産に登録されたサンゴ礁や周辺環境を脅かす事態になっている。
オーストラリア外務貿易省の5日の発表によると、ばら積み貨物船「ソロモン・トレーダー」はソロモン諸島のレンネル島カンガバ湾で2月5日に座礁した。座礁時には燃料用の重油が700トン以上あった。
以来、同船からは重油が流出し続け、CNN系列局のラジオNZによると、これまでに流出した量は100トンあまりに上る。
オーストラリア政府は、船内に残る約600トンの重油も流出し、海洋汚染が一層深刻化するリスクは大きいとの見方を示した。
レンネル島は、南部が1998年にユネスコの世界遺産に登録された。同地は世界で最大の隆起サンゴ礁の島。ユネスコによると、流出は世界遺産の「すぐ外側」で発生し、世界遺産に影響が及ぶ可能性があるほか、地元住民の生活も影響を受ける恐れがある。
オーストラリア海上保安当局が上空から行った調査では、同船から大量の重油が流出し、約5~6キロの範囲に拡散して海岸に漂着し始めていることを確認した。
ラジオNZによると、環境への影響は既に出始めている。ソロモン諸島の災害管理当局は同局に対し、死んだ魚やカニが海岸に漂着し、住民に影響が及んでいるほか、ニワトリや鳥類にも影響が出ていると語った。
オーストラリア政府はソロモン諸島と協力して、環境被害を食い止める対策に当たっている。
ソロモン諸島政府は、同船の引き揚げと環境被害を食い止める責任は、同船を所有するキング・トレーダー社と保険会社にあると指摘。両社は6日に謝罪の声明を発表し、貨物船に残った600トンの重油を別の船に移すなどの対応を予定していることを明らかにした。