「ユダヤ帽の着用控えて」、ドイツ政府幹部が呼び掛け 襲撃増加受け
(CNN) ドイツでユダヤ人を標的にした襲撃事件などが増えている現状を受け、政府の反ユダヤ主義対策を統括する責任者がこのほど、国内のユダヤ人に「キッパ」と呼ばれる伝統的な帽子の着用を控えるよう呼び掛けた。
反ユダヤ主義対策の責任者、フェリクス・クライン氏は25日、フンケ・メディアグループとのインタビューで「残念ながら、現在の私の意見は過去とは違う」「ユダヤ人の皆さんに、国内のどこでも常にキッパをかぶるよう勧めることはできない」と話した。
また、ユダヤ人をめぐる状況が悪化しているのは社会全体の抑制がきかなくなり、品性が失われてきたためだと指摘。インターネットやソーシャルメディアの影響に加え、ナチス・ドイツの歴史を忘れまいとする「記憶の文化」が攻撃にさらされていることも原因だと述べた。
クライン氏はそのうえで、警官や政府当局者らが容認できる行為とできない行為を明確に区別できないケースも多いとの懸念を示し、反ユダヤ主義犯罪への具体的な対応を指導する必要があると訴えた。
反ユダヤ主義に対する抗議デモに参加する人々=4月、ベルリン/Carsten Koall/Getty Images Europe/Getty Images
クライン氏によれば、反ユダヤ主義は昔からドイツに存在していたが、近年特に「醜悪な面をむき出しにするようになってきた」という。
内務省が最近発表した統計によると、反ユダヤ主義の憎悪犯罪は昨年、20%近く増加した。ユダヤ人が襲撃された事件は2017年の37件から、昨年は62件に増えた。ゼーホーファー内相によれば、極右団体の支持者らによる犯行が約9割を占めているという。