放送局や記者の自宅へ家宅捜索、報道の自由に懸念 オーストラリア
ニューデリー(CNN Business) オーストラリア・シドニーにある公共放送ABCのオフィスと著名ジャーナリストの自宅が2日連続で警察の家宅捜索を受け、関係者が報道の自由に対する懸念を強めている。
警察は5日に実施したABCの家宅捜索について、「機密事項の公開」を巡り、同国の国防当局から「照会」があったと説明した。
ABCによると、警察の捜査は、アフガニスタンでオーストラリアの特殊部隊が違法な殺人や不法行為に関与したとされる2017年の「アフガン・ファイル」の報道に関連して行われた。
ABCのデービッド・アンダーソン社長はCNNに寄せた声明の中で、「報道の自由、および国家安全保障と国防に対する国民監視において重大な懸念を生じさせる」と指摘した。
同局の編集責任者兼調査報道責任者のジョン・ライオンズ氏は5日のツイッターで、捜索令状は警察に対し、ABCのコンピューターに保存された情報の「追加・コピー・削除・改変」を認める内容だったと明らかにした。
警察は複数の文書を押収したものの、ABCの不服申し立てに時間的猶予を与えるため、2週間封印することに同意したという。
警察はこの前日、首都キャンベラ郊外にある住宅の家宅捜索も行っていた。こちらも「機密指定情報の公開」に関連する捜索だったとしている。
同国のメディアによると、家宅捜索を受けたのは、サンデー・テレグラフやニューズ・コーポレーション傘下の他の新聞で国政を担当するアニカ・スメサースト記者の自宅だった。
この捜索について、ニューズ・コープ・オーストラリアの広報はCNN系列局SBSの取材に対し、「不都合な真実を語ろうとする者たちを脅すという危険な行為」とコメントしている。