香港行政長官、抗議デモを受け「心から謝罪」 辞任はせず
香港(CNN) 香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は18日、刑事事件の容疑者を中国本土へ引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」の改正案が反発を招き、大規模な抗議デモに発展したことについて、「心からの謝罪」を表明した。
林鄭氏は同日の会見で、「ここ数カ月の懸念は政府に至らない点があったことが原因だ」と述べた。
しかし形式的とも取れるこの謝罪を、反対派が受け入れるかどうかは不透明だ。林鄭氏は15日、逃亡犯条例の改正に向けた審議を無期限で延期すると表明したものの、これは16日の大規模デモを抑えるどころか、あおる結果となった可能性もある。
デモ隊は改正案の完全な撤回を求めたが、同氏は18日も「無期限延期」の方針を改めて示すにとどまった。
ただし、政府がデモを「暴動」と呼ぶことをやめるよう求める声に対しては、警察幹部が同日、態度を柔軟化させ、警官に暴力を振るった者だけが暴動を起こしたとみなされると明言した。香港の法律で、暴動は禁錮10年以内の刑に相当する重罪とされている。
デモ隊はさらに林鄭氏の退陣を要求し、同氏の辞任は避けられないとの見方も広がっていた。しかし同氏の側近らによれば、その可能性は低いとみられる。会見では本人も、任期満了まで残り3年間の「困難な仕事」に言及した。
親中派の林鄭氏に対し、中国では16日以降、国営メディアや外務省報道官が改めて「確固とした支持」を表明している。
香港では2014年、行政長官選挙の民主化を求めて大規模な反政府デモ「雨傘運動」が展開された。中国側には、林鄭氏の辞任で同様の運動が再燃する事態を避けたいとの強い意向がある。