米政権、5兆円規模のパレスチナ経済支援計画 和平案の一環
ワシントン(CNN) 米ホワイトハウスは中東和平案の一環として、パレスチナに対する500億ドル(約5兆4000億円)規模の経済支援計画を提案する。25日から中東バーレーンで会合を開き、アラブ諸国の政府や投資家に資金提供を呼び掛ける。
トランプ大統領の娘婿で中東和平担当のクシュナー上級顧問は22日の声明で、支援計画は「和平が成立すれば何が実現するかという展望」を示す案だと述べた。
計画の詳細を最初に報じたロイター通信によると、今後10年で無償援助135億ドル 低利融資260億ドル、民間投資110億ドルを提供する。総額の半分以上はパレスチナ自治区、残りが近隣のエジプト、レバノン、ヨルダンに投入され、計179件の具体的な事業に振り分けられる。
米政権当局者2人がCNNに語ったところによれば、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸とガザ地区で計100万人の雇用を創出し、パレスチナの域内総生産(GDP)を倍増、貧困率を半減させることを目指す。
資金は主にアラブ諸国から調達する計画だが、各国の政府、企業が応じる保証はない。米政権当局者らは、この案で和平成立による経済効果の議論を活発化させ、パレスチナに交渉参加を促すことが狙いだと話している。
これに対し、パレスチナ当局の高官らからは「パレスチナの繁栄に向けた第一の要件は経済上の主権」「イスラエルに占領をやめさせることが先決だ」などと反発する声が上がっている。
クシュナー氏らは政権発足当初から、中東和平案の検討を進めてきた。今回を提案の第1弾とし、パレスチナ国家樹立やエルサレムの地位など政治的争点に関する提案は9月のイスラエル選挙後に先送りする構えだ。