絶滅危機のハゲワシ、ゾウの死骸食べ500羽超死ぬ 密猟者が仕掛けた毒で ボツワナ
(CNN) アフリカ南部のボツワナでこのほど、絶滅の危機に瀕(ひん)しているハゲワシ500羽以上がゾウ3頭の死体を食べた後で死んだことが分かった。密猟者がゾウの死体に仕込んだ毒で死んだとみられる。同国政府が声明で明らかにした。
20日の声明によると東部の行政区、セントラル地区にある野生動物保護区で、ハゲワシ537羽とアフリカソウゲンワシ2羽の死骸が見つかった。
ハゲワシの内訳はコシジロハゲワシが468羽、ズキンハゲワシが28羽、カオジロハゲワシが17羽、ミミヒダハゲワシが14羽、ケープハゲワシが10羽。いずれも国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種」もしくは「近絶滅種」に区分されている種だ。
ボツワナ政府はソーシャルメディアに投稿した声明の中で、これらのワシについて、密猟者がゾウの死骸に加えた有毒性化学物質を食べて死んだとの見方を示した。
アフリカ野生生物基金(AWF)によると、ハゲワシなどがゾウの死骸に群がると密猟を行っている場所が特定されるため、密猟者らはこれらの鳥の存在を問題視しているという。
ハゲワシは生態系が機能するうえで重要な役割を果たす。腐敗しつつある動物の死骸を食べてくれることで環境が清潔に保たれ、伝染病の拡大リスクも最小限に抑え込まれるからだ。
政府は声明で、密猟者による意図的な動物の毒殺を非難。「環境にとって危険かつ有害だ」と強調した。報道によれば、事態を受け当局は、24時間体制で現場を消毒している。死骸や周辺環境の検査・分析も進める予定だという。
2013年には隣国のナミビアでも、ゾウの死骸に仕込まれた毒が原因でハゲワシなど500羽以上の鳥が死んでいた。