中国、米紙記者を追放 習主席いとこの調査報道が原因か
北京(CNN Business) 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)を発行する米企業ダウ・ジョーンズは30日、中国当局が北京を拠点にする同紙記者1人の記者証の更新を拒否したと報告した。
事実上の国外退去処分と受けとめている。シンガポール国籍の王春翰(Chun Han Wong)記者が中国の習近平(シーチンピン)国家主席のいとこに関する調査報道記事の共同執筆者だったことが記者証更新を拒絶する理由とみている。
この記事では、いとこによる巨額の賭博やオーストラリアでのマネーロンダリング(資金洗浄)への関与の疑惑に言及。WSJは30日、記者証の切り替え拒否とこの調査報道を関連づける記事を掲載した。
一方、中国外務省は声明で、外国人の記者証は国内法規に従って処理していると指摘。その上で一部の外国人記者による中国への悪意ある中傷や攻撃には断固として反対すると強調した。
同紙は30日の記事で、「習主席や親族らの個人的な生活について中国当局は機微に触れる問題と受けとめている」と指摘。「関連記事の掲載前、接触してきた外務省当局者は不掲載を促し、出した場合、何らかの結果を招く」と警告してきたとも明かした。
年1回の記者証更新を拒まれた王春翰記者は2014年から北京で取材活動を開始。記者証はこれまで問題なく再発行されていたという。
中国の外国人特派員協会は今回の措置を受け、懲罰の形での記者証更新の拒否を最大限に強い調子で非難するとの声明を発表。中国もしくはその指導部を喜ばせない、事実に基づく記者活動を実施したニュース機関を罰する中国当局による極端な試みに等しいと非難した。