チリ、APEC首脳会議とCOP25の開催断念 相次ぐデモ受け
(CNN) 南米チリのピニェラ大統領は30日、同国で予定されていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の開催を断念すると発表した。チリはこの2週間、相次ぐデモでまひ状態に陥っている。
首都サンティアゴではデモ中の衝突により少なくとも20人が死亡。主要閣僚8人が辞任する事態につながった。
ピニェラ氏はサンティアゴのモネダ宮(大統領府)から行ったテレビ演説で、「我々政府にとって深い痛みを伴う発表だが、11月に予定されていたAPEC首脳会議と12月に予定されていたCOP25は開催しない」と表明した。
さらに「この決定がAPECとCOPに引き起こす問題と不都合については大変申し訳なく思う」「全国民の大統領として、私は常にチリ人の問題と利益を最優先しなければならない」と述べた。
APECは11月11~17日、COP25は12月2~13日にかけて開催される予定だった。
トランプ米大統領は28日、APEC首脳会議で中国の習近平(シーチンピン)国家主席と会談する可能性を示唆。米中貿易協議の進ちょく状況に触れ、「予定より若干早く進んでいる。もしかしたら予定より大幅に進んでいるかもしれない」としていた。
ホワイトハウスは30日、APECの中止を確認し、「我々の理解では現時点で代替地の用意はない」「別の開催地に関する情報を待っている」と述べた。 チリのデモは地下鉄運賃の引き上げをきっかけに始まったものの、その後混乱が拡大し、経済成長から取り残された一般国民の怒りが浮き彫りになった。デモ隊の多くは現在、ピニェラ氏の辞任を要求している。