中国で大気汚染防止対策が奏功、数十万人の命が救われる
(CNN) 中国で大気汚染を防止するための政策が進められたことで2017年だけでも数十万人の命が救われたとの研究結果が発表された。
米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された研究によれば、工業分野に対する排ガス規制やクリーンな燃料の利用を促す新しい規則の導入によって、大気の汚染粒子は急速に減少しているという。
今回の研究では、2013年から17年に焦点を合わせて調査を行った。
PM2.5(微小粒子状物質)は非常に小さいため血管などにも入り込み、長期的に見ると、がんや脳卒中、心臓発作を引き起こす可能性がある。
中国は急速な工業化と緩い規制によって大気の質が悪化した。中国当局が真剣に大気汚染対策に乗り出したのは2008年だった。
2013年には北京で、世界保健機関(WHO)が推奨する基準値の40倍を上回るPM2.5の数値が検出されていた。中国政府はこの年、これまでで最も厳しい大気汚染防止策を導入した。
今回の研究によれば、火力発電所に新しい基準が設けられたほか古い工場の建て替えや車の排ガスに対する新しい規制などと同時に、13年から17年にかけてPM2.5の数値が中国全土で大幅に減少したという。
国際環境保護団体「グリーンピース」と大気汚染の実態を監視する民間機関「エアビジュアル」が発表した報告書によれば、北京がアジアで大気汚染のひどい都市上位100位から外れたほか、中国の各都市でも全体的な汚染の度合いは10%緩和されたという。