ロヒンギャ虐殺の主張は「誤解招く」、スーチー氏が反論 ICJ
(CNN) ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問は11日、同国の少数派イスラム教徒ロヒンギャの迫害問題をめぐる国際司法裁判所(ICJ)の審理に出廷した。対ロヒンギャ軍事作戦がジェノサイド(大量虐殺)に当たるとの主張に対し、「不完全で誤解を招くものだ」と反論した。
スーチー氏は法廷で、西部ラカイン州で2017年夏に実施された軍事作戦について弁論。「ジェノサイドの意図が唯一の仮説であるはずがない」と主張した。
ミャンマーではその後も暴力が続き、16年から17年にかけて74万人以上のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れた。生き延びた人たちは、ミャンマー軍による集団レイプや大量殺害、拷問、住居の破壊などの残虐行為を証言している。
国連調査団の報告書では、こうした暴力をジェノサイドと認定した。
ロヒンギャ危機をめぐり国際法廷でミャンマーの責任が問われるのは今回が初めて。ICJはオランダ・ハーグに拠点を置く裁判所で、15人の判事が国家間の法的紛争の解決などに当たる。
今回の訴訟はアフリカの小国ガンビアが提起した。ミャンマーが大量殺害やレイプ、共同体の破壊を通じ、「ロヒンギャを集団として破壊する意図をもって」ジェノサイドに及んだとしている。
これに対し、スーチー氏の主張は主に、「ミャンマーの主権と安全保障」を揺るがす武力紛争への対応だったとの前提に立つ。スーチー氏はこうした対応を軍による「掃討作戦」と呼び、武装組織「アラカンロヒンギャ救済軍(ARSA)」に対する正当な対テロ作戦だったと位置付けた。
一方で、一部のケースで「不均衡な力」の行使があった可能性は否定できず、軍はARSAの戦闘員と民家人を明確に区別していなかったと認める場面もあった。