墜落のウクライナ機、イランがミサイルで撃墜か CNNが映像入手
(CNN) イランの首都テヘランの国際空港で起きたウクライナ旅客機の墜落に関連してCNNは、テヘランの上空でミサイルが発射され、物体に命中する瞬間をとらえたと思われる映像を入手した。カナダと英国の首相は9日、同機がイランの地対空ミサイルによって撃墜されたとの情報があることを明らかにした。
カナダのトルドー首相はオタワで開いた記者会見で、「意図的ではなかった可能性もある」との見方を示した。
英国のジョンソン首相は声明を発表し、「同機はイランの地対空ミサイルに撃墜されたとの情報がある。意図的ではなかった可能性は十分ある。我々はカナダなどの国際社会と連携しており、今や透明性のある徹底捜査が必要になった」と指摘。「英国は引き続き、全方面に対して緊急にこの地域の緊張緩和を求める」とした。
トルドー首相も墜落原因の徹底究明を呼びかけたが、自身の見解を裏付ける証拠や情報に関する詳細は明らかにしなかった。
米当局者は、イランが誤って同機を撃墜したとの見方を強めている。そうした説は、米軍や情報機関が収集している衛星やレーダー、電子データの継続的な解析に基づく。
この情報に詳しい米当局者は、ロシア製の地対空ミサイル「SA15」2発によって同機が撃墜されたと語った。米国はイランのレーダー信号が同機を追尾する様子をとらえており、その後、同機は撃墜されたという。このデータは米国のアナリストが事故後に発見したが、確認のためさらに1日を要したとしている。
CNNが入手した映像には、8日早朝、テヘラン上空に向けて発射されたミサイルが、空中で物体に命中する様子が映っていた。ウクライナの旅客機が墜落したのは、これとほぼ同時刻だった。
CNNではこの映像の信憑(しんぴょう)性を確認できていない。しかし映っているビル群は、テヘラン郊外のパランド地区の光景のように見える。ウクライナ機はパランドの北部に墜落した。
この映像はCNNと米紙ニューヨーク・タイムズに送られてきたもので、上空を左から右へと走って爆発する閃光をとらえている。CNNは、この映像を寄せた人物に対して詳しい情報や入手した経緯を尋ねているが、これまでのところ返答はない。
米国のトランプ大統領は9日、「あちら側で誰かが過ちを犯した可能性がある」と語った。
米当局者によると、イラン航空当局は米国家運輸安全委員会(NTSB)に対し、ウクライナ機墜落に関する調査への参加を招請した。
墜落したのはボーイング737―800型機。米当局が調査に加われば、ボーイングの参加も可能になる。ただ、米国側が参加するためには制裁の一部を緩和する必要があり、困難な状況も予想される。
ウクライナ国際航空PS752便は現地時間の8日、テヘランの空港を離陸した直後に墜落。イランやカナダ、英国などの乗客を含む176人全員が死亡した。