アフガンで「暴力削減」開始 米とタリバーンの和平合意の前提
(CNN) 米国務省は21日、アフガニスタンで現地時間同日夜から7日間の「暴力の削減」が始まると発表した。米国と反政府勢力タリバーンの間で合意したもので、履行が確認されれば、双方は29日に和平合意に署名する。
ポンペオ国務長官はこの日午前、ツイッターで「数十年に及んだ紛争の末、我々はアフガニスタン全土で大幅に暴力を削減することでタリバーンと合意した。和平に向けた長い道のりの最初の重要な一歩であり、全アフガニスタン国民にこの機会を生かすよう求める」と述べた。
米国は和平合意をてこに、トランプ大統領が掲げるアフガン撤兵につなげたい考え。撤兵の第一段階では、駐留米軍の規模を現在の1万2000~1万3000人から、8600人に削減する方針とみられている。ただし複数の当局者は、削減は「状況次第」と強調した。
ポンペオ氏によると、暴力の削減が実現した場合、米国は29日にタリバーンとの和平合意に署名する方向で準備を進めている。
アフガンではその後国内勢力間の交渉が始まる予定で、今回の暴力削減の実施を足がかりに、「包括的かつ恒久的な停戦を実現し、アフガンの今後の政治的ロードマップ(工程表)を描く」(ポンペオ氏)
タリバーンは声明で、米国との合意に署名する方針を表明。署名に先立ち双方が捕虜解放を含む「適切な治安環境」の実現に取り組みむことで、「全ての外国部隊の撤収」に向けた道筋がつく可能性があるとしている。
トランプ大統領は以前からタリバーンとの包括的な合意を求めてきた。昨年9月には「原則合意」の発表があったものの、首都カブールでの襲撃で米兵に死者が出たことを受け、和平協議を中断。その後トランプ氏は昨年11月にアフガンを電撃訪問した際、交渉再開を発表していた。
ただ米政権高官の一人は先週、和平合意よりも現状維持を望む人々がいると指摘。現状から利益を得ている人々が多く存在しており、アフガンの国自体が非常に複雑だとの認識を示していた。