新型コロナ、ブラジルで初の死者 予防策は「ヒステリー」と大統領
サンパウロ(CNN) 南米ブラジルで17日、新型コロナウイルス感染による初の死者が報告された。一方でボルソナーロ大統領は近隣諸国や国内の感染予防策に対し、「ヒステリー」と揶揄(やゆ)するなど批判的な発言を続けている。
当局者らによると、国内初の死者は検査で陽性反応を示していた62歳の男性。最大都市サンパウロの病院に入院してから4日後の16日に死亡した。男性には高血圧と糖尿病の基礎疾患があり、国内で感染したとみられる。
同国の感染者は先月26日に1人目が発表されてから、17日の時点で291人に増え、今後もさらに増加する見通しだ。
しかしボルソナーロ大統領は15日、CNNブラジルとのインタビューで、サッカーの試合などを禁止するのは「ヒステリー」だと発言。「あれこれ禁止しても感染拡大は収まらない」と述べ、経済をストップさせて失業の嵐を招くわけにはいかないと強調した。
ボルソナーロ氏の周囲では、今月初めの訪米に同行した側近ら13人の感染が確認されているが、本人は検査で陰性だったと発表。自主隔離を勧める医師団の助言を押し切り、15日には親政権派の集会で支持者らと握手を交わす姿がみられた。
隣接するペルーやアルゼンチンは国境を封鎖し、国内でも半数以上の州が公立学校を閉鎖、サンパウロとリオデジャネイロは非常事態を宣言するなどの措置に踏み切った。保健当局は感染拡大に備え、病院のベッドや医師らの確保に取り組んでいる。
一方、ボルソナーロ氏は17日のラジオインタビューでも「経済は好調だったのに、ウイルスがヒステリーをもたらした。一部の知事は我が国の経済を大きく損なう措置を取っているというのが私の見解だ」と語った。