出稼ぎ労働者に消毒液を噴射、地方当局に非難集中 インド
ニューデリー(CNN) インド北部ウッタルプラデシュ州当局が、新型コロナウイルス感染拡大を受けて帰省しようとする出稼ぎ労働者の集団に消毒液を噴射した措置に対し、「行きすぎ」との非難が集中している。
現場の動画には、同州バレーリー県で地面に座った労働者らの集団に、防護服姿の3人組が液体を直接浴びせる場面が映っている。
同州の新型ウイルス対策を統括する当局幹部はCNNとのインタビューで、帰省する労働者らが衣服などに付いたウイルスを持ち出さないよう、出発前の約5000人に消毒液をかけたと説明。すでに州境は全て封鎖したため、今後繰り返す予定はないと述べた。
噴射されたのは漂白剤の粉末を溶かした液体で、バスの消毒に使われている。同幹部によれば、人体に害はないという。
だが実際には、消毒用の薬品が人体への毒性を持つケースもある。また世界保健機関(WHO)は、皮膚を消毒しても体内に入り込んだウイルスは退治できないと警告している。
労働者に消毒液を噴射する様子が撮影され、非難の声が上がった/Bhim Manohar via Reuters
インド保健家族福祉省の高官は30日、人体への噴射は国の要請ではなく、現場レベルの一部職員が「無知または恐怖」から暴走した結果だと説明。関与した州当局者らは懲戒処分になったと述べた。
バレーリー県長官も行きすぎた行為だったとツイートし、責任者らに対する調査を命じたことを明らかにした。噴射を受けた労働者らは現在、経過観察中だという。
インドでは都市封鎖で職を失った出稼ぎ労働者ら数百万人が一斉に地方へ帰省。全土に散らばった人々に14日間の隔離を義務付けようと、当局者らが追跡を急いでいる。