EU、中国による検閲容認 論説から「中国でコロナ発生」削除
(CNN) 欧州連合(EU)は9日までに、加盟国大使らが中国紙に寄稿した論説について、中国政府による検閲を受け入れていたことを認めた。検閲後の文章では、新型コロナウイルスが中国で発生し、その後世界に広まったとする部分が削除されていた。
この論説はEUのニコラ・シャピュイ駐中国大使が27加盟国の中国大使と連名で執筆したもので、EUと中国の外交関係樹立45周年を記念して発表された。
EU代表団のウェブサイトで公表された元の文章は、「中国における新型コロナウイルス集団感染の発生と、その後3カ月での世界的な拡大」によって、既存の外交計画が難航していると指摘する内容。
しかし、中国の国営英字紙チャイナデイリーに掲載された文章では、新型コロナウイルスが中国で発生したこと、感染が世界に拡大したことへの言及が削除されている。
これについてEUの駐中国代表団は、「強い遺憾」を表明する一方、検閲された文章の掲載に同意したことを認め、理由を「多くの優先分野に関する重要なメッセージ」が含まれていたためだと説明した。
同代表団は声明で「当該メディアから、中国外務省は新型コロナの起源と拡散に関する部分を削除する条件でのみ掲載を許可するとの通知があった」と説明。EU代表団として中国外務省に異議を申し入れたことを明らかにした。
そのうえで「EUと中国には人権問題をはじめとする分野で相違があるが、我々の協力関係はこうした問題について率直な議論ができるほど成熟してきた。それだけに今回の件は一層遺憾だ」としている。