アイルランドから米先住民へ、170年後の恩返し 感染対策支援に多額の寄付
(CNN) 新型コロナウイルスの感染が米先住民の間でも拡大する中、170年以上前に寄せられた善意の恩返しをしようと、アイルランドで米先住民支援の呼びかけが広がっている。
善意の歴史はアイルランドがジャガイモ飢饉(ききん)に襲われていた1847年にさかのぼる。米先住民のチョクトー族はこの時、170ドルを集めてアイルランドに寄付した。
チョクトー族はその16年前、強制移住させられた際の旅の途中で、飢えと病気のため数千人が命を落とす苦悩を経験していた。
今、クラウドファンディングサイトの「ゴーファンドミー」に開設された米先住民支援のページには、アイルランド全土からの寄付が相次いでいる。
「アイルランドより170年後の恩返しです」「困難な時にある米先住民の兄弟姉妹のために」。そんなメッセージも書き込まれた。
発端はアイリッシュ・タイムズ紙の記者が2日、ツイッターを通じて先住民ナバホ族とホピ族の支援を呼びかけたことだった。
「米先住民は当時、飢饉に苦しむアイルランド救済のために、ほんの少ししか持たない中から多額を集めてくれました」「今こそ彼らのために一丸となるべき時です」
支援サイトを通じてアイルランドから寄せられた寄付は5日までに推定50万ドルに達した。寄付の総額は5日夜の時点で200万ドルを超す。集まった寄付は米先住民のための食糧や水、生活必需品に充てられる。
ナバホ族の準自治領が4日発表したところによると、これまでに確認された新型コロナウイルスの症例は2400例を超え、死者は70人以上。ホピ族の保護区では52人に陽性反応が出ている。