25年前に失踪したパンチェン・ラマ、「大学卒業して就職」と中国外務省
香港(CNN) 今から25年前、チベット仏教で最高指導者に次いで2番目に高い地位にあるパンチェン・ラマの生まれ変わりと認定された6歳の少年が、突如として姿を消した。
この少年、ゲンドゥン・チューキ・ニマさんの消息は、その後伝えられていなかった。
しかし中国外務省報道官は19日の定例記者会見で、今は31歳になったニマさんが、大学を卒業して就職していると語り、本人も家族も「現在の普通の生活」がかき乱されることは望んでいないと強調した。
ニマさんは1995年、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマから、パンチェン・ラマ11世に認定された。パンチェン・ラマ10世はこの6年前に死去していた。
これに対して中国政府はニマさんのパンチェン・ラマ認定を認めず、中国政府が指名したギェンツェン・ノルブさんこそが、「真の」パンチェン・ラマだと主張していた。
成長したギェンツェン・ノルブさんは、中国の政治団体に加わって、北京で重要行事に出席するようになった。
ニマさんが、自分がパンチェン・ラマに選ばれたことを知っているのかどうかは不明。チベット亡命政府はニマさんの失踪から25年に当たって声明を発表し、「中国がパンチェン・ラマを拉致し、その宗教的アイデンティティーと、僧院で修行する権利を強制的に否定していることは、信教の自由の侵害であるだけでなく、重大な人権侵害に当たる」と非難した。
米国務省のポンペオ長官も、中国がニマさんを迫害しているとして非難、中国政府に対して「パンチェン・ラマの居所を公表し、チベット人の宗教の自由を尊重する」ことを要求した。