中国全人代、国家安全法の香港導入を審議へ 米国務省は警告
香港(CNN) 中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の報道官は21日、国家分裂行為などを禁じる国家安全法を香港に導入する案が全人代の議題になると明らかにした。これに対し、米国務省は中国側に警告を発している。
同法は反乱扇動や国家分裂、中央政府の転覆を禁じる内容になるとみられている。香港議会を実質的に迂回(うかい)することを可能にする「基本法付属文書3」の規定を使って導入される見通し。
中国政府は同法の導入により、香港の反政府デモの取り締まりを強化することが可能になる。香港では新型コロナウイルス感染の落ち着きを受けてデモが再開しており、自治が後退しつつあるとの懸念が一層強まっている。
全人代の張業遂(チャンイエソイ)報道官は22日の全人代開幕を前に、「香港の国家安全を守るための法制度と執行メカニズムの確立および改善」と題した案を審議すると明らかにした。
さらに「国家安全は国の安定を支える根幹であり、国家安全の保護は香港の同胞を含む全中国人の基本的な利益に資する」としている。
張報道官はまた、香港は中国の不可分の一部だと強調。「新たな状況と必要性」に照らして、こうした案を審議する全人代の憲法上の権限を行使することが「非常に必要」だと述べた。
一方、米国務省のオルタガス報道官は21日、「香港の人々の意思を反映しない国家安全法を押し付ける試み」があれば、国際的な非難に直面するだろうと警告した。
香港基本法23条は「反逆、国家分裂、反乱扇動、中央政府転覆を禁止する法律を自ら制定する」よう香港政府に求めている。
しかし香港返還から23年近くが経過した今なお、こうした法律は可決されていない。前回は2003年に制定の動きがあったが、香港史上最大のデモが起き、法案は棚上げされた。