コロナ対策の対人距離6フィート、不十分の恐れ 専門家報告
(CNN) 米国と台湾の感染症などの専門家3人は28日までに、新型コロナウイルス予防策として勧められる6フィート(約183センチ)の対人距離の確保について十分な間隔でない可能性があるとすると共に、このウイルスの空中の伝染を重大視する必要があるとの論評を発表した。
科学誌「サイエンス」が掲載し、無症状の感染事例を突きとめ隔離するための定期的かつ広範な検査も提言。マスク着用が浸透し、新型コロナの封じ込めが成果を上げた香港や台湾などの地域の事情にも注目した。
その上で、世界保健機関(WHO)による新型肺炎対策に関する指針は全ての状況に置いて十分な効果をもたらさないかもしれないとも主張した。
論評は台湾の中山大学や米カリフォルニア大学サンディエゴ校の専門家3人が執筆。新型コロナウイルスは大気中に浮遊する粒子などとして静かに拡散し、症状が出ないながらも高い伝染性を持つ個人が吐き出していることを示唆する証拠があると指摘。
WHOが進める6フィートの距離設定は多くの屋内の環境下では十分な対策に成り得ないことを示す証拠も増えていると説明。これら屋内では粒子が数時間も空中にとどまり、時間の経過と共に蓄積し、空気の流れと共に6フィート以上の距離にも届くと述べた。
呼吸や会話が原因で生じる粒子はたやすく他の人間の肺の奥深くに吸い込まれると分析。対人距離を取っていてもマスク着用がいっそう重要になるゆえんと説いた。
その上で、新型コロナウイルス感染症が拡散する多くの場合、無症状の感染者に根差す粒子の空気伝染が原因とみられるとも指摘。さらなる研究が必要としながらも、しっかりした検査態勢の構築を求めた。