世界最悪級の新型コロナ流行も、支援削減で窮状に拍車 イエメン
(CNN) 内戦が続くイエメンで、新型コロナウイルスの世界最悪級の流行が起きる事態が懸念されている。国連による人道支援が削減されたことを受け、死者が激増する懸念は一層強まった。
イエメン支援のために寄せられた拠出額は、国連が目標としていた24億2000万ドル(約2640億円)の半分程度にとどまった。
国連人道調整官のリセ・グランデ氏は3日、イエメンの首都サヌアから電話でCNNの取材に答え、「ただでさえ栄養状態が悪く、対抗する術もない人々に対して新型コロナウイルス流行の影響が増大しつつある時に、イエメンに対する支援をさらに大幅に削減しなければならない」と訴えた。
「イエメン国内の369病院のうち189病院で、3週間以内に総合医療サービスの閉鎖が始まる。子ども300万人を含む850万人の水道サービスと衛生サービスが3週間以内に閉鎖される。栄養不良で飢餓状態にある子ども250万人の栄養補助は8~10週間以内に閉鎖が始まる」(グランデ氏)
国連が2日に開いた仮想カンファレンスでは、イエメン支援のために必要とされる24億2000万ドルのうち、拠出の申し出があった金額は13億5000万ドルにとどまった。「最悪の場合、新型コロナウイルスによる死者は、戦争や疾病、飢えのために過去5年間で死亡した人数を上回るかもしれない」とグランデ氏は危惧する。
非政府組織(NGO)の統計によると、5年以上にわたるイエメンの内戦による死者は11万2000人以上。このうち1万2690人は民間人だった。
疾病や栄養不良による死者の数は統計によって幅があるが、国連などの支援団体は1000万人に人道支援を届けている。国連によれば、コレラの感染者は今年に入って既に11万人に達した。