シンガポールでデング熱激増、過去最悪の被害懸念
(CNN) 新型コロナウイルスの被害も大きいシンガポールの国家環境庁(NEA)は4日までに、蚊が媒介するデング熱の感染症も今年激増し、過去最悪の水準に達する恐れがあると警告した。
年初以降に判明した症例は1万4000件以上で、通年では2013年に記録した過去最高の2万2170件を超す勢いとなっている。これまで16人が死亡し、早くも13年の倍となった。
先週だけでも週間単位としては過去最高の1468件を記録。1000件超は3週連続ともなった。
政府は対応策として公共の場所や住宅団地内などで潜在的な繁殖地の除去を図る調査を拡大。NEAは声明で、多くの繁殖地の発見が団地、建物や民家で続いていると指摘。今月15日からは住宅などの内外で繁殖の予防策を講じなかった場合に住民らに科す罰金を増やすとも通告した。
今年激増した背景要因として専門家は過去30年間発見されていなかった古いウイルス株の復活が大きな要因と判断。この株は2016年以降に多かった「DENV−2」型とは異なる「DENV−3」型で、昨年から増え出したという。この株への住民の免疫機能の低下にも言及した。
また、新型コロナウイルスの予防策である隔離措置も一因の可能性もある。自宅待機で住民が終日家内にいればそれだけ蚊が住宅地で繁殖地を増やし吸血の機会が多くなるとも推測した。
デング熱はネッタイシマカが媒介するとされ、熱帯や亜熱帯地域の雨期に多く発生。高熱、激しい頭痛、筋肉や関節痛などの症状が出るのは感染者の約25%ともされる。症状が極端に悪化すれば出血、呼吸難、器官の機能障害が出て、死亡することもあり得る。