南アジアで新たに1.2億人の子どもが貧困状態に ユニセフ予測
ニューデリー(CNN) 国連児童基金(ユニセフ)はこのほど、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、南アジア地域で新たに計1億2000万人の子どもが貧困状態に陥ると予測する報告書を出した。
世界人口の約4分の1が集中する南アジアでは最近、新型コロナウイルス感染が急激に拡大。特にインドではこれまでに計44万人以上の感染が確認されている。
ユニセフの報告書はアフガニスタン、パキスタン、インド、ネパール、ブータン、バングラデシュ、モルディブ、スリランカの8カ国に住む計6億人の子どもたちが、感染対策のロックダウン(都市封鎖)などによる経済的、社会的影響で大きな打撃を受けていると指摘。保健、教育、衛生状態など複数の側面で貧困状態にある子どもは現在の推定2億4000万人から、今後6カ月でさらに1億2000万人増えると予測している。
ユニセフ南アジア地域事務所のジャン・ゴフ代表は、子どもたちが受ける長期的な影響は特に甚大だと述べ、このまま放置すれば新型コロナウイルスが「一世代全体の希望と未来を打ち砕いてしまう」と危機感を示した。
報告書によると、ネパールではロックダウン中にはしかの流行が報告され、バングラデシュで4月に実施された子どもたちへの定期予防接種は2月より55%減少した。学校閉鎖に伴う遠隔授業に、インターネット接続や電力供給の問題で参加できない子どもも多い。
学校給食による栄養補給がストップし、インドやネパールでは学校が隔離施設に転用された。
労働者の解雇や給与削減で多くの家庭が打撃を受けている。報告書は各国政府に対し、児童手当の一律給付など十分な対策をただちに講じる必要があると訴えている。