人質解放の条件は「映画の推薦」、バス乗っ取り男が大統領に要求 ウクライナ
(CNN) ウクライナ西部のルツクで、武装した男がバスを乗っ取り、人質を取って立てこもる事件があった。しかし男の風変わりな要求にゼレンスキー大統領が応じたことで、数時間に及んだ事件は無事解決した。
男が大統領に要求したのは、人類による動物虐待を告発した2005年のドキュメンタリー映画を国民に推薦することだった。
治安当局によると、ライフル銃や手投げ弾で武装した男が21日午前、13人の乗ったバスを乗っ取り、車内と別の場所に爆弾を仕掛けたと主張、遠隔操作で爆発させることができると脅した。
男はマキシム・クリボシュ容疑者(44)と判明。ソーシャルメディアに「反体制」宣言を掲載し、政府当局者数十人に対して「テロリスト」だと認めることなどを要求していた。
ウクライナ内務省によると、クリボシュ容疑者は最初の数時間、警察に向けて発砲したり、手投げ弾を投げたりしていた。
銃弾によって穴の開いたフロントガラス/YURIY DYACHYSHYN/AFP/Getty Images
ゼレンスキー大統領は電話で直接クリボシュ容疑者と交渉し、まず人質3人を解放させた。さらに、大統領自身の公式フェイスブックに掲載した動画を通じ、「皆さん、2005年の映画『アースリングス』を観てください」と呼びかけると、残る人質全員が解放された。
アースリングスは工業化された農業界の動物虐待について告発する内容のドキュメンタリーだった。
ゼレンスキー大統領の動画は、クリボシュ容疑者が投降し、人質が解放された後に削除された。事件による死傷者は報告されていない。
アバコフ内相はアースリングスについて、「いい映画だが、あれほどの騒ぎを起こして国中を恐怖に陥れなくても、ただ観れば済むことなのに」とコメントしている。
クリボシュ容疑者は22日、テロなどの容疑で訴追された。