爆発受けコロナ感染が増大の恐れ、病院逼迫 レバノン
(CNN) 首都ベイルートで大規模な爆発が起きた中東レバノンのハマド・ハッサン公衆衛生相は8日までに、爆発の影響で今後10日の間に新型コロナウイルスの感染者数が増える恐れがあるとの懸念を表明した。
同国の国営通信NNAによると、地元ラジオ局の取材に述べた。感染者数の増加への危惧について、病院で爆発の負傷者の治療を迫られることや個人的な医療防護具の不足を要因に挙げた。
レバノンでも新型コロナの感染は拡大傾向にあり、公衆衛生省によると今月4日には209人、5日は146人の新規感染者が判明。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、同国の新型コロナの累計感染者数は日本時間の8日午後の時点で5951人、死者は70人。
爆発では少なくとも154人が死亡、負傷者も5000人を超えた。公衆衛生省は負傷者に対応するため野戦病院の設置計画を発表。新型コロナの感染者用の病棟なども設けるとした。
レバノンでは新型コロナへの病院の対応能力が逼迫(ひっぱく)しているとの指摘も既に出ていた。新型コロナに加え、国内経済の苦境のあおりで同国の医療態勢は崩壊の瀬戸際に直面しているともされ、今回の爆発が追い打ちをかけた格好ともなった。
爆発後、病院に押し寄せた負傷者らは数千人規模とされ、建物が損傷した病院も多い。収容の場所がなく床面に横たわりながら点滴を受ける患者の姿もみられた。
ベイルートに滞在する米国人はCNNに、聖ジョルジュ病院を訪ね、献血を申し出たが警備員に追い払われたと証言。警備員は「血液は必要ではない。もう病院ではないから。全てなくなった」と漏らしたという。