アルゴリズムの成績判定に不満噴出、大学入学資格めぐり混乱 英
ロンドン(CNN Business) 英国で新型コロナウイルスのために中止された大学入学資格試験に代わって実施されたアルゴリズムによる評定に対し、生徒や専門家から批判の声が噴出している。
ロンドン西部の高校に通うフィリップさん(18)は、このアルゴリズムが原因で、大学の法学部に入学する機会を奪われたと感じている1人。
イングランドとウェールズ、北アイルランドでは30万人以上の生徒が13日、大学入学資格試験に代わるアルゴリズム判定結果を通知された。
英国では毎年、「Aレベル試験」と呼ばれる大学入学資格試験が実施されているが、今年は新型コロナウイルスの影響でこの試験が中止になり、代わってアルゴリズムによる成績判定が行われた。
しかしこのアルゴリズムに対して、裕福ではない家庭の生徒に対する偏見が入っているとの批判が高まった。
フィリップさんの場合、試験を受ければ「A」評定2つと「B」評定1つを獲得できるだろうと担当教員は予想。この成績であればエクセター大学法学部の合格は確実なはずだった。
教育省前で抗議デモを行う学生たち=14日/Tolga Akmen/AFP/Getty Images
しかし13日、自宅で専用サイトにアクセスして確認した結果は不合格だった。
フィリップさんの評定はBが1つとCが2つだった。フィリップさんだけでなく、イングランド全体で40%近い生徒が、教師の予想よりも低く判定されていた。州立学校の生徒は、私立学校の生徒に比べて厳しい判定を受ける傾向にあり、大学に入学できなくなった生徒も多かった。
英教育省前で行われた生徒たちの抗議運動では、アルゴリズムに対して怒りをぶつける参加者もいた。
こうした抗議が続いたことを受け、ウィリアムソン教育相は数日後、アルゴリズムが判定した成績ではなく、教師が予想した成績の採用を認めると発表した。
問題のアルゴリズムには、前年までのパターンに基づいて評価を分散させ、高判定と低判定をほぼ同数とすることによって、公平性を保証する狙いがあった。生徒の成績判定は、教師が予想した成績と、教師によるランク付けに基づいている。しかし同時に、その学校の過去の実績が勘案されていたために、裕福な生徒の方が有利になっていた。