意図的に感染させる「ヒトチャレンジ治験」、英政府が契約
ロンドン(CNN) 新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に向け、健康な参加者を意図的にウイルスにさらして効果を確認する「ヒトチャレンジ治験」に、英政府が出資する契約が成立した。
ヒトチャレンジ治験はアイルランドの製薬企業オープン・オーファンの子会社、hVIVOが英インペリアル・カレッジ・ロンドンとともに、ロンドンのロイヤル・フリー病院で実施する。最大3種類のワクチン候補について効果を調べる予定だ。
通常の治験ではワクチン候補を数万人に投与し、日常生活のなかで感染するかどうかをみるのに対して、ワクチン投与後に全員の体内にウイルスを入れるため、数百人の規模で短期間のうちにデータが得られる。
英当局によると、今後さらに倫理委員会の承認を得たうえで実施される見通し。
hVIVOはまず来年初め、少人数の健康な参加者をウイルスにさらし、発症に至る最低限のウイルス量を見極める。
続いて、参加者らにワクチン候補を投与したうえで鼻から微量のウイルスを注入し、経過を観察する。
参加者は18~30歳で基礎疾患がなく健康であることを条件とし、適切な額の謝礼を支払う。数週間の治験期間を通して病院に滞在させ、症状が出た場合はただちに抗ウイルス薬のレムデシビルを投与するという。
ヒトチャレンジ治験はコレラや腸チフス、マラリア、インフルエンザのワクチン開発でも実施されてきた。ただし新型コロナウイルスの場合、レムデシビルを含む治療薬の効果が100%確認されていない段階で意図的に感染させる点や、参加者が健康な若者に限定され、一般市民を代表しているとはいえない点に懸念を示す声も上がっている。