台湾、保有するF16全機を飛行停止に 訓練中の墜落受け
香港(CNN) 台湾当局は19日までに、軍のF16戦闘機1機が17日夕の訓練中に墜落したことを受け、保有する約140機のF16について全機を飛行停止にした。
台湾国防省によると、墜落したのは単座のF16戦闘機。現地時間午後6時5分に台湾東岸の花蓮空軍基地を離陸した後、約2分後に太平洋上空でレーダーから機影が消えた。
台湾総統府の声明によると、同機に搭乗していたパイロットの捜索が続けられている。
蔡英文(ツァイインウェン)総統は18日午前、記者団に対し、墜落に関する調査が終わるまでは全てのF16の飛行を停止すると説明した。飛行停止後も台湾軍の即応態勢に変化はないとしている。
F16は台湾が保有する戦闘機の約半数を占める。中国人民解放軍空軍はここ数カ月、台湾の防空識別圏への進入を繰り返しており、台湾側は戦闘機の緊急発進を余儀なくされている。
中国と台湾は1949年の内戦終結以来、別々に統治されてきたが、中国は台湾に対する完全な主権を主張。ロイター通信が台湾国防相の話として伝えたところよると、台湾は今年、中国機の進入に対抗する目的で戦闘機のスクランブル発進に9億ドル(約934億円)近くを費やしたという。
台湾はF16を中国の軍事行動に対する重要な防衛手段と位置付けており、新型モデルを保有機に加える方針。8月には、66機の新型F16を米国から購入する契約を締結し、米国から台湾への武器売却としてはここ数年で最高の規模となった。