人体改造受けた「超人兵士」、フランス軍倫理委が容認
(CNN) フランス軍が軍の倫理委員会の報告を受け、身体能力を増強した「拡張兵士」の開発を許可する方針を打ち出した。
8日に公表された報告書では、医療措置や義肢、装置の埋め込みなどによる体力、認知力、知覚力、精神力の増強について検討。これによって兵士が兵器システムと交信して所在場所を突き止めたり、同僚の兵士と連絡を取ったりできるとした。
ほかにも考えられる介入措置として、苦痛やストレス、疲労を防ぐための医療措置や、兵士が捕虜にされた場合に精神力を高める薬物にも言及している。
フランスは、困難な戦略的状況の中で軍の運用上の優位性を保ちながら、軍をつかさどる規定や人道法、社会の基本的価値観を尊重する必要があると同委員会は指摘。従って、兵士が武力の行使を抑制できる能力や、人道的な感覚に影響を及ぼすような改造は禁止するとした。
さらに、兵士の自由な意思の行使に影響を及ぼすような認知装置の埋め込みや、市民生活への復帰に影響を及ぼすような改造なども禁止事項に挙げている。
フロランス・パルリ軍事相は、装置の埋め込みのように身体的負担が大きい増強は現時点では計画していないとしたうえで、「誰もが我々と同じ罪の意識を持っているとは限らない。我々は自らそうした未来に備えなければならない」と指摘。「これは意見であり、確定はしていない。今後の展開に照らして定期的に再検討される」とした。
これに先立ち米国のジョン・ラトクリフ国家情報長官は米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿で、米国や世界の民主主義に対する中国の脅威に懸念を示していた。
この中でラトクリフ長官は、米情報機関が入手した情報として、「中国は生物学的能力を増強した兵士を開発する目的で、人民解放軍の兵士に対して人体実験さえ実施している」「北京の軍事力追求に倫理的境界はない」と述べている。
中国外務省はこの寄稿を強く批判、「米国側の一部の政治家」に対し、「政治的ウイルスやうそをつくり出してまき散らすのをやめよ」と要求した。
2016年の時点でCNNは、人の脳がコンピューターと直接通信するためのインプラント開発に米軍が数百万ドルを費やしていると報じていた。
米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)はこのインプラントについて、戦闘で負傷した退役軍人など聴覚や視覚に障害をもつ人にも恩恵があるとしている。