遠隔地で住民を装いワクチンを優先接種、元社長夫婦に罰金 カナダ
(CNN) カナダ西部バンクーバーに住む会社社長とその妻が、遠隔地にある先住民の町にチャーター機で乗りつけ、住民を装って新型コロナウイルスワクチンの優先接種を受けていたことが分かった。2人は移動後の隔離を求める感染対策のルールに違反したとして罰金を科された。
カナダ国内25カ所にホテルとカジノを展開する企業グレート・カナディアン・ゲーミングのロドニー・ベーカー元社長兼最高経営責任者(CEO)=55=と妻(32)は21日、同国北西部ユーコン準州の小さな町、ビーバークリークの移動診療車でワクチンの接種を受けた。
ビーバークリークはカナダ西端に位置する先住民の町で、人口はわずか約125人。カナダのワクチン接種計画では、医療体制の不十分な遠隔地に住む先住民らが優先対象となっている。
2人は地元ホテルの従業員を装ったが、接種後に空港へ行く車の手配を頼んだため、不審に思った診療チームがホテルに問い合わせてうそが発覚したという。
夫婦は19日にバンクーバーからユーコン準州の州都ホワイトホースに移動していた。準州当局のルールではここで14日間の隔離義務があったにもかかわらず、2日後にビーバークリークへ飛んでいた。
その日のうちに帰途に就いたが、ホワイトホースまで戻ったところで見つかり、隔離ルールに反したなどとして、1人につき罰金など計1150カナダドル(約9万4000円)の支払いを命じられた。
グレート・カナディアン・ゲーミングはCNNの取材に対して、元社長は24日の時点ですでに役職から退き、同社とは一切無関係になっていると述べた。