中国軍、インドとの係争国境で野営地を撤去 衛星写真が捉える
(CNN) 中国がインドとの国境に位置する係争地域から軍隊を撤収させ、設備を解体したうえで野営地を明け渡していたことが新たな衛星画像から明らかになった。この1週間前、両国はお互い当該地域から撤退することで合意していた。
米国の衛星運用会社、マクサーテクノロジーズが先月30日に撮影した画像には、多数の中国軍の部隊がパンゴン湖に沿って配備されている様子が写っていた。パンゴン湖は中国とインドの事実上の国境線である「実効支配線(LAC)」をまたぐ形で位置し、戦略的に重要な意味を持つ。
だが今月16日に撮影された衛星画像では、数十台の車両や複数の建造物が姿を消し、何もない地面だけが写っていた。
中国は10日、両国が合意に基づき、湖の南北の岸からともに撤退すると発表していた。
インド陸軍の北方軍司令官はCNN提携局の取材に対し、「中国軍は意思と目的に対する誠実さを示し、撤退の手続きを遂行した」と説明。撤退が極めて迅速に行われたとの認識を示した。
10日の時点でインド陸軍が公開した画像や映像からは、掘削用の車両数台や荷を積載した車列が確認できる。また中国軍兵士によるテントの解体や荷物の搬出、戦車の移動などの様子もとらえられていた。
インドのシン国防相は11日の議会で、両軍それぞれの前方展開の撤退について「段階的かつ組織的、実証される形で行われる」との見通しを示した。
昨年6月に国境地域で死傷者を出す衝突が発生してから両国は協議を継続。今回の合意は9度目の会合の中で成立したものだった。
シン国防相によると、撤退合意の条件の下、今後中国軍はパンゴン湖の北岸において「フィンガー8」と呼ばれる区域よりも東側で部隊を維持することになる。一方、インド軍は「フィンガー8」から西へ5区域隔てた「フィンガー3」付近に恒久基地を構えるという。
同相は、パンゴン湖の南岸でも「同様の措置」が取られると付け加えた。