1日の死者最多を記録、医療崩壊寸前 コロナ禍のブラジル
(CNN) 南米ブラジルで新型コロナウイルス感染拡大の第2波が全土を覆っている。病院や集中治療室(ICU)は医療崩壊寸前の状態にあり、1日の死者は過去最多を更新し続けている。
同国では新型コロナの変異ウイルスが全土で拡大しているが、ジャイル・ボルソナーロ大統領は強気の姿勢を崩さず、国民の多くはマスク着用や移動制限に従わない状況が続いている。
24時間の死者数は、今月に入って3度にわたり過去最高を更新している。保健省は10日、新たな過去最高となる2286人の死亡を発表。死者の累計は27万人を超え、米国に次いで世界で2番目に多くなっている。
ICUの使用率は26州のうち22州で80%を突破。南部のリオグランデドスル州では103%を超え、患者がベッドの空きを待たされる状態にある。隣のサンタカタリーナ州でも99%を超え、州全体で症例数が急増する中で崩壊寸前にある。
サンタカタリーナ州の州都フロリアノポリスでは、既に定員を超えた病院もある。この病院の看護師長はCNNの電話取材に対し、「使用率は100%を超え、完全に手に負えなくなっている。ICUを待っていた患者の多くは助からなかった」と語った。
医療従事者によると、症例数が最近になって急増した原因は主に、大晦日(おおみそか)ごろから始まってカーニバルの祝日から現在にかけても続くパーティーや人の集まりにある。その多くは自治体や州の規制を無視して開かれた。
先週はリオデジャネイロ市長が市内の飲食店を対象に、営業時間を午前6時から午後5時までに制限すると発表した。それでも数百人が居残り、同市によると5日~6日だけでも規制違反で230件以上の罰金や閉鎖が命じられた。
「ブラジルの医療制度は崩壊寸前だ」。サンパウロのジョアン・ドリア知事はCNNの取材にそう語り、「パンデミックと戦うための国家的な協調がブラジルには存在しない。大統領と州知事が国民に同じメッセージを伝える必要があるのに、残念ながらそうなっていない」と訴えた。