中国全人代、香港選挙制度の「改善」案を承認 反対派への制限強化
香港(CNN) 中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)は11日、香港の選挙制度の「改善」案を賛成多数で可決した。香港住民が自分たちの指導者を自由に選ぶ能力はさらに制限される。
採決の結果は賛成2895、反対0、棄権1だった。
中国政府は今月上旬の時点で、香港の選挙制度を見直す計画を発表していたことから、「決定案」の可決はほぼ不可避とみられていた。全人代が中国指導部の提出した法案に反対することはなく、全人代での投票はおおむね儀礼的な性格と考えられている。
決定案では、見直しの目標は「愛国者」のみが香港を統治する体制を確実にすることにあると明記。当局者は「愛国者」の定義について、国への忠誠だけでなく共産党への忠誠も要求されると明言してきた。
中国外務省香港特派員公署の宋如安副特派員は今週、法改正に関する記者会見で「我々が愛国心と言うとき、それは中国の文化や歴史を愛するという抽象的な意味ではなく、中国共産党の指導下にある現在の中華人民共和国を愛するという意味だ」と説明。そのうえで「愛国者は中国共産党を尊敬するべきだ」としていた。
今回の決定には、香港議会の規模と構成を変える案が含まれる。議席数が現行の70から90に増えるため、民選議員が全体に占める割合は減少する。
香港行政長官の選出を担っている選挙委員会は1200人から1500人に拡大され、議員候補を指名する権限および議員の約3分の1を任命する権限も付与される。他の3分の1は業界団体や産業団体によって選ばれる「職能枠」となる。
香港では2019年のデモ後、民主派候補が地方選挙で圧勝を収め、20年9月に予定されていた議会選でもこの勢いに乗るとみられていた。だが、議会選は新型コロナウイルスの流行を理由に延期された。