EU、ワクチンの輸出管理を強化
ロンドン(CNN) 欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は24日、新型コロナウイルスワクチンの輸出を強化する提案を行った。EUと英国との間で起きているアストラゼネカ製ワクチンをめぐる新たな対立の事例となった。
新たな輸出管理ではEUからの輸出は輸出先のワクチン接種の進捗(しんちょく)状況やワクチンの輸出なども判断基準となる。
今回の管理強化は欧州委員会が域内の市民にワクチンの供給を確保するための最新の取り組みとなる。アストラゼネカ製ワクチンのEUへの供給量は契約上の義務があるにもかかわらず当初の見込みに届いていない。一方、英国は目標数に届いている。
欧州委員会のドンブロウスキス副委員長は24日、今回の変更の目的は、輸出により透明性を与え、EU域外で何が起きているのか完全に把握することにあると指摘。そうすることで、規則がう回される可能性を避けることができると述べた。
24日にはイタリア・ローマ郊外の工場での「取り締まり」で、輸出が予定されていた2900万回分のアストラゼネカワクチンが発見されたと報じられていた。
アストラゼネカの広報担当は、そうした報道について、ワクチンは「在庫」の一部だと反論。ワクチンはEU域外で製造され、ワクチンを公平に分配する国際的な枠組み「COVAX(コバックス)ファシリティー」を通じて低・中所得の国々に配布される前にびんにワクチンを注入するための工場に運ばれていたと説明した。1300万回分についてはコバックス向けに、1600万回分については欧州向けに、それぞれ品質管理のため待機していたという。