スエズ運河のコンテナ船、完全に離礁 船尾に続き船首も自由に
(CNN) 世界の海上交通の要衝、エジプトのスエズ運河で座礁した大型コンテナ船「エバーギブン」の船体が29日午後、完全に離礁した。スエズ運河庁の報道官がCNNに語った。
同日朝に船尾部分が離礁したのに続き、船首部分も動かそうとタグボートが数時間作業していた。
離礁作業にあたっていたオランダの企業ボスカリスの広報担当は、船首部分が自由になったかと問われると「そうだ」と答えた。
エジプトの国営テレビは船が完全に浮いた様子を放映した。
長さ400メートル、幅60メートル近い巨大コンテナ船の座礁で、23日からスエズ運河の全運航が止まっていた。
同船を運航する台湾のエバーグリーンは、現地時間29日午後3時ごろに浮上したと発表。SCAトップのオサマ・ラビー氏によると、同船は現在、スエズ運河に隣接するビター湖にある。
ラビー氏は、同船が安全に航行できることを確認するまで出航は許可しないと言及。また、補償問題があることから事故原因を究明する調査も出航前に行う必要があるとの認識を示した。運河側には何ら誤りはないとも言い添えた。
衛星画像が捉えた離礁に向けた作業の様子。この翌日に船体が離礁した=28日 /Maxar Technologies/AP
ラビー氏によると、スエズ運河の両方向の運航は同日午後6時に再開した。今後は滞留していた船舶の処理が課題となり、現状のペースでは混雑解消に3日から3日半かかる見通し。
442隻の船が運河通過のために待機中。先着順に通過させるが、家畜を運ぶ船は同日の最初の船団で通過することが許可されたという。
通常は1日80~90隻が通るが、SCAは24時間体制で対応するとしている。スエズ運河の通過には10~12時間かかるが、24時間体制の場合は1日2つの船団が通過可能だという。