エチオピアで飢餓、35万人超が「大惨事」の水準 国連
(CNN) 紛争による混乱が続くエチオピア・ティグレ州で、35万人を超える人々が深刻な飢餓に直面していることが、国連や援助団体による新たな報告書で明らかになった。
国連のマーク・ローコック人道問題担当事務次長は10日、「エチオピアでは今現在、飢餓が存在する」と警鐘を鳴らした。世界各地での食料不安や栄養失調の問題を評価する国際システム「食料の安全保障総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」によると、ティグレ州内のかなりの部分では現在、最も深刻なレベルである「IPCフェーズ5大惨事」の状態にあるという。
2021年5月の時点で、同州および隣接するアムハラ州、アファール州では人口の半分超に当たる計550万人が「高レベルの深刻な食料不安」に、35万3000人が「大惨事のレベル」に直面している。報告書によれば、状況は9月にかけてますます悪化する見込みだという。
ティグレ州の絶望的な食料事情の主因は紛争で、報告書は「この深刻な危機は、立ち退きや移動制限、人道援助への限定されたアクセス、収穫物や家畜の喪失、市場機能の不全もしくは喪失など、紛争の影響で派生してきたものが原因となっている」と指摘している。
また国連機関は、とりわけティグレ州において、紛争が激化して相当な程度に人道援助が阻害された場合、飢餓のリスクが拡大することを懸念している。
ローコック氏は報告書の公開を受けて、ツイッター上で緊急資金援助と支援物資への滞りのないアクセスを呼び掛けた。
エチオピアでは2020年11月、同国政府軍の部隊とティグレ州の与党だったティグレ人民解放戦線(TPLF)の間で戦闘が発生していた。