アフリカ唯一の絶対君主が国外逃亡か、当局は否定 エスワティニ
(CNN) アフリカ唯一の絶対王制国家、エスワティニ(旧スワジランド)を35年にわたって統治する国王ムスワティ3世が、民主化デモの激化を受け国外逃亡したとの情報が浮上している。ただ、同国当局者は逃亡を否定した。
南アフリカの公共放送SABCは28日、デモ隊が暴徒化して治安部隊と衝突する中、ムスワティ氏が国外逃亡したと報道。野党関係者は29日も引き続き国王が逃亡したと主張したものの、証拠は示していない。
エスワティニのテンバ・マスク首相代行は29日の声明で「国王陛下は今も国内におり、王国の目標を推進するため、自ら先頭に立って政府と協力している」と述べた。
デモが始まったのは1週間前。若者が街頭に繰り出し、投票権や憲法改正を求めた。
しかし政治団体「スワジランドの経済的解放の闘士」によると、治安部隊の暴力を非難する声が出る中で参加者1人が死亡し、デモが激化した。地元メディアの報道やSNSに投稿された動画によると、中部マツァパでは小売店などが放火される事態となった。
ムスワティ3世はアフリカで最後に残った国王で、議会や政府の他の部門に対して権力を行使している。
エスワティニの経済は苦境にあり貧困率も高いが、国王は一夫多妻生活や派手な暮らしぶりで知られ、2019年には妻15人のためにロールスロイスなどの高級車15台を購入した。
米経済誌フォーブスの08年の記事では、ムスワティ氏の資産総額は約2億ドル(現在のレートで約220億円)と見積もられていた。