ベラルーシ、政治犯の強制収容所を建設か 反体制派が懸念
リトアニア・ビリニュス(CNN) 電流が流れる3層のフェンス。新しい監視カメラ。軍の警備と「立ち入り禁止」の看板。新しく改装された兵舎の建物の窓には鉄格子と反射ガラスがはめられている。ベラルーシの森林の奥深くにあるこの施設は、時折警備員の姿を見かけるだけで、無人の状態にある。
この施設は、ベラルーシの首都ミンスクから車で約1時間ほどのノボコロソボという集落の近郊で、旧ソ連時代のミサイル収蔵施設の跡地に最近建設された。反体制派の間では、政治犯の強制収容所として利用されるのではないかとの懸念が強まっている。
ベラルーシでは、抗議デモが起きるきっかけになった昨年8月9日の大統領選挙から1年が近づき、再び弾圧や逮捕が広がることへの不安も高まっている。
ベラルーシの野党指導者スベトラーナ・チハノフスカヤ氏の上級顧問はこの施設について、「(アレクサンドル・ルカシェンコ大統領が)強制収容所のようなものを建設しようとしていても不思議はない。いずれにしても新たな抗議の波は巻き起こる」と語った。
昨年10月には活動家団体が、内務副大臣の発言とされる音声を公開。副大臣とされる声は「先鋭な」抗議運動家を矯正させるための強制収容所を建設する必要があると語っていた。
西側の情報当局者はCNNの取材に対し、同施設が強制収容所として利用される可能性はあるとの見方を示した。ただ、それを裏付ける直接的な証拠はないとしている。
地元住民は同施設の改装にかかわった建設業者の話として、同施設は3層の有刺鉄線に囲まれて電流が流されていると証言した。
ベラルーシをめぐっては、東京オリンピックに出場した女子選手が日本の警察に助けを求めてポーランドに亡命。3日には亡命者支援団体の代表がウクライナの首都キエフで死亡しているのが見つかった。