タリバン制圧でワクチン接種が80%減、医薬品供給も遅滞 アフガニスタン
(CNN) 国連児童基金(UNICEF=ユニセフ)は25日、アフガニスタンでの新型コロナウイルスのワクチン接種活動に触れ、イスラム主義勢力タリバンによる権力掌握後の最初の1週間で接種回数が80%急減したと報告した。
タリバンが首都カブールを制圧したのは今月15日、同日から19日までの間にワクチン投与を受けたのは23州で計3万500人。同月8日から12日までの間では30州で13万4600人だった。
ユニセフは、政情混迷や衝突、緊急事態の発生を踏まえれば国民は自らの安全確保が最優先となり、ワクチン接種の活動が後退するのは理解出来ると述べた。その上で、ワクチン投与を含め医療衛生サービスへの需要を向上させることに努めているとした。
アフガン内では米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発したワクチンなどを使っているが、同社製のワクチン約200万回分は今年11月までに使用期限切れになるとも指摘した。
タリバンの報道担当者であるザビフラ・ムジャヒド氏は24日の記者会見で、国内の全ての医療衛生サービスが再開されるだろうとし、医者に対し職場へ戻るよう呼びかけた。
世界保健機関(WHO)が24日公表した最新データによると、アフガンでワクチン接種を受けた国民は120万1286人。同国内の累計感染者数は昨年1月以降で15万2000人以上、死者は7000人以上となっている。
WHOは最近、カブールの空港運用が混乱していることに伴い、新型コロナ対策などに欠かせない医薬品や備品の供給が遅れているとも警告。これら医薬品は緊急に必要であり、既に脆弱(ぜいじゃく)な同国の医療態勢に悪影響を及ぼしているとも述べていた。
アフガンはポリオが流行している世界の2カ国のうちの1国。ポリオのワクチン接種の遅延などは同国の子どもの健康を危うくさせかねないともした。