英控訴審、アサンジ被告の米移送容認 米国の「確約」踏まえ
ロンドン(CNN) 英国で収監中の内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者、ジュリアン・アサンジ被告の米国への身柄引き渡しをめぐる控訴審で、英裁判所は10日、移送を認める判断を示した。米国が被告の処遇について示した「確約」を踏まえた判断。
アサンジ被告は軍や外交上の機密情報の暴露に関与したとして、米国でスパイ活動法に基づき訴追されている。
英国の裁判所は1月、米国の引き渡し要請を認めれば、精神衛生上の理由からアサンジ被告にとって「過酷」なものになると判示。控訴審判事による判断はこれを覆す形となった。
アサンジ被告の弁護士は10日の声明で、米国の確約に基づく判断について、14日以内に英最高裁に上告する方針を示した。言論の自由や米国の引き渡し要請の政治的動機など、他の争点についてはまだ控訴審で審理されていないとも指摘した。
米国が示した確約とは、アサンジ被告は特別な「行政措置」の対象にならない▽公判前も後も最高警備レベルの刑務所に収容されない▽有罪判決を受けた場合、オーストラリアで刑に服するという被告の請求に米国は「同意」する▽米国に勾留中、被告は「適切な臨床的・心理的治療」を受ける――の4点。
控訴審の判事は、これらの確約が1月の判断につながった懸念を解消したと判断した。
ウィキリークスが2010年に機密文書や外交公電を大量公開した事件を受け、アサンジ被告は米国で18の罪状で指名手配されている。有罪になれば最大で禁錮175年を言い渡される可能性がある。
被告はスウェーデンへの身柄移送を避けるため、英ロンドンのエクアドル大使館で約7年間籠城。その後19年にロンドン警視庁によって逮捕された。